手根管症候群(しゅこんかんしょうこうぐん)
示指、中指を中心にしびれ、痛みが出ます。しびれは環指、母指に及ぶこともあります。これらは明け方に強くなり、手を振ることで楽になります。母指の付け根(母指球)がやせてきて、縫い物やボタンかけなどの細かい作業が困難となり、右図のようなOKサインができにくくなります。
肘部管症候群(ちゅうぶかんしょうこうぐん)
麻痺の進行により症状が違います。初期は小指と環指の一部にシビレ感が出現します。麻痺が進行するに伴い、手の筋肉がやせてきたり、小指と環指が変形をおこします。
ばね指(ばねゆび)
指は腱によって曲げ伸ばしをすることができます。屈筋腱には、腱の浮き上がりを押さえる靱帯性腱鞘(じんたいせいけんしょう)というトンネルがあります。屈筋腱と靭帯性腱鞘との間で通過障害が起こると、指の付け根に痛みや腫れが生じます。これを腱鞘炎と呼び、進行するとばね現象(弾発)が生じます。これがばね指です。
ドケルバン病
手首の母指側に腫れと混みが生じます。母指には幾つかの腱がついていますが、右図に示す二本が手首の母指側にある腱鞘の部分で炎症を起こして腱の動きがスムーズでなくなります。
橈骨遠位端骨折(とうこつえんいたんこっせつ)
手首に強い痛みがあり、腫れてきます。時に変形がみられます。指に力が入らず、十分に握ることができません。骨折部は不安定で反対側の手で支える必要があります。手指のしびれが生じたり、後日、母指を伸ばす腱が切れたりすることがあります。
フォーク状変形:よく見られる変形は横から見た場合に、フォークを伏せておいたような形になるのでフォーク状変形と呼ばれる
母指CM関節症(ぼししーえむかんんせつしょう)
物をつまむ時や瓶の蓋を開ける時など、母指に力を必要とする動作で痛みが出ます。進行すると母指が開きにくくなり、CM関節※の変形は外見からもわかるようになります。
ヘバーデン結節(へばーでんけっせつ)
示指から小指にかけて第1関節(DIP関節)が腫れたり、曲がったりします。痛みを伴うことがあります。母指にみられることもあります。具体的な症状として、水ぶくれのようになる「粘液のう腫(ミューカスシスト)」、痛みにより強く握ることが困難になり、関節の動きも悪くなります。
マレット変形(まれっとへんけい)
手指の第1関節(DIP関節)が曲がったままで腫れや痛みがあり、自分で伸ばそうとしても伸びません。
強剛母指(きょうごうぼし)
乳児の頃から、母指の第1関節が曲がったままで伸びない状態を強剛母指とよんでいます。付け根の部分にしこりが触れることがありますが、あまり痛がりません。
デュピュイトラン拘縮(でゅぴゅいとらんこうしゅく)
手のひらから指にかけて硬結(しこりやこぷのようなもの)ができ、皮膚がひきつれて指が徐々に伸ばしにくくなります。環指や小指に多く見られますが、他の指や足の裏にもできることがあります。痛みはあまりありません。
ガングリオン
関節の周辺に米粒大からピンポン玉くらいまでの腫瘤ができます。腫瘤は大きくなったり小さくなったりすることがあります。手首の甲にできる事が多く、軟らかいものから硬いものまであります。不快感がありますが、多くの場合強い痛みはありません。ただし、神経が圧迫されると痛みが出ることもあります。
橈骨神経麻痺(とうこつしんけいまひ)
手首を持ち上げたり(反らしたり)、手指を伸ばしたりすることができなくなります。このような状態を下垂手といいます。母指と示指の間がしびれることがあります。*脳梗塞とは異なります。
舟状骨骨折(しゅうじょうこつ)
けがの直後では、手首の母指側に痛みと腫れが生じます。時間とともに軽快しますが、放置していると脅折部がつかずに偽関節※となります。手をついたり重い物を持った時などに手首に痛みが生じ、力が入らなくなり、動きも悪くなってきます。
キーンベック病
手を使った後、手首に痛みと腫脹が起こります。握力が低下し、手首の動きが悪くなります。
テニス肘(てにすひじ)
物をつかんで持ち上げるような動作をすると肘の外側から前腕にかけて痛みが出現します。多くの場合、安静時の痛みはありません。また、タオルを絞る時などにも痛みが出ます。
TFCC損傷(てぃーえふしーしーそんしょう)
腕を捻ったり手首(以下、手関節)を小指側に曲げた時に、手関節尺側(小指側)に痛みが出現します。通常、安静時痛はありません。ドアのノブを捻る時や、鍋などを持ち上げる時などにも痛みが出ます。